大判例

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東京高等裁判所 昭和30年(う)2830号 判決

被告人 皆川ふき

〔抄 録〕

水戸地方検察庁土浦支部検察官検事池田貞二の控訴趣旨第一、二点並びにA、B両弁護人の控訴趣意第二点について。

被告人の検察官に対する昭和三十年三月二十日附供述調書の記載によれば被告人は関口栄一から供与された金一万五千円のうち選挙人小野瀬嘉行外数十名に対し前後三回にわたり候補者皆川四郎平のために饗応した際の費用として合計金六千九百円を費消したほか残額八千百円は同人の生活費小遣銭に費消したものであること明らかであり、すなわち金一万五千円のうち金六千九百円は供与を受けた趣旨に従い右の如く現実に選挙のために使用されたのであるが残額は同人の生活費等自己の用途に費消されたものであるから右残額八千百円は被告人が亨受した利益として当然これを没収されるべきものであるが既に前記の如く費消してこれを没収することができないからこれが価額を追徴しなければならないことは公職選挙法第二百二十四条の規定により固よりである。然るに原審が右の追徴を遺脱していることは前記公職選挙法の解釈適用を誤つたものであり、かかる誤が判決に影響を及ぼすことは明らかであるから検察官の控訴趣意第一点は理由があり原判決はこの点において破棄を免れない。なお各所論に鑑み本件訴訟記録並びに原審において取り調べた証拠に現われている一切の事実を精査すれば論旨の指摘する諸般の情状を斟酌しても原審が被告人を懲役二月に処し二年間右刑の執行を猶予し且つ被告人に対し右執行猶予期間中選挙権及び被選挙権を停止しなかつた部分は相当であると認められるからこの点の変更を求める各論旨はいずれも理由がない。

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